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[コメント] 去り行く男(1956/米)

私も、まず第一に撮影の端正さを云いたくなる映画だが、そこはぐっと我慢して、デルマー・デイヴィスのことを誉めるべきでしょう。デイヴィスの最高作は本作かも知れません。
ゑぎ

 しかし、惚れ惚れするような構図の連続、とても安定感のある画面の連続だ。デイヴィスとチャールズ・ロートン・Jrとのコンビ作って他にも代表作と見做されている作品が、いくつかあるのだが(『決断の3時10分』や『カウボーイ』等)、本作だけ、なぜにこんなに良いのだろう。不思議だ。

 あと、配役の良さもあげるべきでしょう。矢張り何と云っても、敵役としてのロッド・スタイガーが素晴らしい。悪役という言葉がどうにも相応しくない、どちらかと云えば、憎まれ役、と云うべき屈折した男のキャラクターを実に見事に表現する。そしてもう一人、アーネスト・ボーグナインも相変わらずの存在感だが、前半は『マーティ』(1955)効果か(?)善良な牧場主を度量大きく演じる感があるのだが、段々と単純で激しやすい粗野な一面が露わになる。ただ、スタイガーに比べると、少々類型的か。あと、若きチャールズ・ブロンソンもラストまで絡む良い役だ。イマイチいてもいなくてもどうでも良い、という役柄だが、なのに、印象に残る、というところが流石なのだ。

 惜しむらくは、女優にビッグネームがいない点だが、ボーグナインの妻役で、魔性の女を演じるヴァレリー・フレンチは、よくやっていると思う。ただし、好対照に過ぎるキャラクターとして、フェリシア・ファーがおとなしく清廉に描かれる部分はわざとらしくも感じる。

(評価:★4)

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