[コメント] サボテン・ブラザース(1986/米)
この映画、勿論、緩いコメディなのだが、アバンタイトルから、画面作りは端正だし、編集含めてかっちり仕上げられており、悪くない西部劇だ。プロットは『七人の侍』モチーフで、日本映画ファンとしては、ことさらにそう指摘したくなるのだが、野盗側のボス、エル・グアポ−アルフォンソ・アラウの出番が多い目立つ扱いである、というようなことを考えると『荒野の七人』のイーライ・ウォラックを思い起こしてしまう。つまり、念頭にあるのは『七人の侍』ではなく、やっぱり『荒野の七人』だったのだろうと思う。劇伴も、エルマー・バーンスタインだ。
さて、コメディとして大笑する場面は無いけれど、しかし全編ニヤケながら見ることはできる。一番気に入ったのは、メキシコに着いた3人がまず酒場に入って、むくつけき男たちの前で、唄って踊る「マイ・リトル・バターカップ」というミュージカルシーンだ。歌とダンスも楽しいが、アクション繋ぎでどんどん繋ぐカッティングがいい。ちなみにこの歌はランディ・ニューマンが作ったようだが、珍しいことに、本作は彼が脚本にも参加している。あと、3人が盗賊エル・グアポのアジトへ向かう旅の場面でも、野営しながら皆で唄うシーンがあったり、道中で、唄う木(低木というか藪)が出てきたりするが、この辺りは完全なファンタジーだ。
エル・グアポのアジトというか砦での戦いと、その後のサンタポコの村人たちも参加した決戦という二つのクラマックスがあり、いずれも緩いシーンだが、この終盤に来て、マーティン・ショートが意外と活躍する、というのが本作の良いところだと思う。砦の中のパーティ(エル・グアポ40歳の誕生日パーティ)の間、上空のピニャータ(お菓子の入ったくす玉らしい)にずっとくっついている、という荒唐無稽な展開はぶっ飛んでいるし、エル・グアポに武器を提供していたドイツ人と早撃ち対決するシーンは全編でもっともカッコいい場面じゃないか。ラストで、村を守った3人にメキシコ娘がそれぞれサヨナラの挨拶をするシーンでは、ショートには、こゝまで全く登場していなかったセクシーな女性(プレイメイトらしい)が出現する、というのもオチとして効いている。
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