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[コメント] 素敵なダイナマイトスキャンダル(2018/日)

吃驚するような上手い演出を見せるわけではないが、まずまず好感が持てる。主人公の雑誌編集者・柄本佑の、青年期からの仕事ぶりや生活描写の合い間に、彼の子供時代が挿入されるが、この過去の場面の造型が、なんともいい。
ゑぎ

 深い山間の村。ダイナマイトの爆発音。母親の尾野真千子と浮気相手(隣の息子)・若葉竜也との逢瀬のシーン。青い夜の表現と、尾野の着物の朱色の対比。

 中盤、柄本が、浮気相手(新人編集者)の笛子・三浦透子と湖の畔でデートをしている場面があるが、こゝもいい。BGMで「カリフォルニア・ドリーミング」がかかる中、二人の目が合う視線のやりとりが楽しいし、湖に漕ぎ出したボートが滑るように進むショットも気持ちいい。また、山側に置いたカメラから、二人が歩くのを撮ったショットで、そのワンカット内に若葉竜也を登場させ、山小屋にいる尾野真千子を訪ねる場面に繋ぐという、面白い場面転換も見せる。

 勿論、本作の「めあて」というかメインのプロットは宣伝製作、雑誌制作場面にあり、これらシーンも興味深いし面白い。柄本の妻・前田敦子が、夫の仕事内容に何ら羞恥心を抱いていない、むしろ誇りに思っているフシがある、という描き方も良い点だろう。仕事仲間を演じる俳優陣では、峯田和伸が、登場シーンはかなり美味しい役なのかと思わせたが、中盤以降は、どうでもいい描き方になる。比べて、キャバレーの宣伝担当時代からラスト近くまで、柄本の側にいるカメラマンの中島歩が印象に残る。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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