[コメント] さらば愛しき大地(1982/日)
光の扱いについても、工場の夜景の光から始まり、日食の表現、夕景、斜光、田んぼを映した黄色い画面等、田村正毅の仕事は突出感があるし、カメラワークを絡めた演技・演出で云っても、前半の根津が山口美也子を道で殴る俯瞰のカットからティルトアップして川の船を映す雨のシーンだとか、後半の度々ある修羅場のシーン等、鬼気迫るものがある。
そして、ダンプの中で根津と秋吉が唄う「唐獅子牡丹」、台湾人役の岡本麗の「夜来香(イエライシャン)」、秋吉の「月がとっても青いから」「一人上手」、事務所で流れている「大阪で生まれた女」等、歌謡曲によって情感を創出する術と、ラストへ向かって加速度的に悲劇が昂進する図太い演出は、『クーリンチェ少年殺人事件』と並び称されても良いぐらいだと思う。本作の柳町光男は全く素晴らしい。
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