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[コメント] なまいきシャルロット(1985/スイス=仏)

ファーストカットはジュークボックス。BGMがかかると、海を走る3台のモーターボートが映し出されてクレジット。クレジット開けは、プールの授業で、順々に飛び込み台からジャンプする中学生ぐらいの子供たち。
ゑぎ

 教師が、笛を吹きながら、ハッ!と号令をかける。主人公のシャルロット・ゲンズブールの順番が回ってくるが、怖くて飛び込めない。このオープニング、以降の彼女の生意気な性格とも対比が効いて、非常に印象に残る。

 この映画もヒロインが出ずっぱりの女優映画で、全編シャルロットの周りしか映らないプロット構成だが、彼女はしっかりとその責に応えている。ただし、シャルロットと同世代の2人の少女との交流が描かれて、この2人の描写についても、良い対比が効いて映画を豊かにしているのだ。一人は、天才ピアニストのクララ。シャルロットが住む町の近くに邸宅(別荘?)があり、町の劇場でのコンサートのため、少しの間、滞在する。このクララがいつもニコニコと鷹揚に構えている性格。また、冒頭のモーターボートの1台はクララの運転であり(冒頭はフラッシュフォワードだったというワケだが)、何でもできる天才少女なのだ。シャルロットとの対比という意味で、とても効果を発揮するキャラ造型だ。

 そしてもう一人がシャルロットの近所に住む彼女の友だち、ルル。実を云うとクララを含めた3人の少女たちの中で、私もこのルルが一番面白いと思った。ある意味、本作を支えているのは彼女だろう。多分、シャルロットよりも年少だと思うのだが(ルルの学年や年齢は分からない。シャルロットとクララは13歳)、背が低くく、メガネ。登場時点では男の子かと思った。この子のシャルロット愛の映画と云う側面も強いのだ。

 その他の登場人物では、シャルロットの父や兄もいるが、矢張り、母親代わりのような家政婦のレオーヌ−ベルナデット・ラフォンと、クララのマネージャー役のジャン=クロード・ブリアリという2人のビッグネームが重要だろう。この2人がシャルロットをサポートすることで本作が引き締まっている。あと、シャルロットが15歳と偽って追いかける旋盤工のジャン−ジャン=フィリップ・エコフェの役割も重要だ。彼女にとっても、恋と云えるほどの感情でないのは明らかだが、少し背伸びして大人のフリをする、というモチーフとして、この2人の描写も、本作を豊かにしているだろう。2で一緒に『エクソシスト』(13歳では見られないレイティング)を見た後、ジャンに襲われて、ガラス製のランプ付き地球儀で、彼の頭を殴る場面の演出がいい。その後、シャルロットが、お父さんに「ガラスの物で頭を殴ったら、次の日ぐらいに死ぬ?」と2回聞くシーンも好きだ。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ペンクロフ[*]

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