私の周りに一人だけ「プロレスが好き。」って言ってる男の子がいて、その子は育ちも良くて頭も良くて見た目も小栗旬みたいで大企業に就職した「シュッとしたエリート」っていう子だったんだけど、私はなんでその子が「プロレスが好き。」っていうのかがまったくわからなかった。別に顔が出川哲朗で馬鹿でプー太郎なら「プロレス好き。」って言ってたら納得するかってそういうわけじゃないんだけど（・・・・ちょっとあるけど）、なんでそういうシュッとした子に限って、大の男が無駄に痛めつけ合ってわめきながら血を流すド突き合いを目をキラキラさせながら「好き。」って言うのかが全然理解できなかった。

この映画は良い映画だった。でもやっぱりその子が目をキラキラさせた理由はわからない。 もしむりやり掘り下げるなら、「善玉と悪玉っていうのがはっきりしている世界だから？」とか、「ヤラセと言われる緻密なドラマがあるから？」とか、「しのごの言わずに男のロマンだから？」とか、それらしい理由を見つけられなくもないけど、女の私には、こんな過酷な仕事を生業とするレスラー自身はおろか、それを観戦するファンがどういう立場でこのショーを楽しんでるのかすらぜんぜん理解できない。（好きな選手がボコボコにされてたら普通見てられないんじゃないの？ていうかヒール役のことをかわいそうとか思うことないの？あーもーわからーんわからんーーー）

プロレスっていう素材以外のところでしか感想を述べられないので言わせてもらうと、マリサ・トメイの女優魂がすばらしくて、ミッキー・ロークももちろんだけど、その姿自体に感動する。どんな女優だってやりたくないよ若い客から馬鹿にされる年増のストリッパーなんか。あとは、楽屋でのレスラー仲間（対戦相手）と打ち合わせするやりとりとか、「お前、薬局開けるんじゃねえか。おいちょっと筋肉見せてみろよ。いいから見せろって。お！やるじゃねーか」とかのやりとりとか、「卵サラダ行くぜ！タッチダウン！」とかのやりとりとか。

良い映画だった。でも、プロレスのことはたぶん一生わかんない。（2011/3/14 CATV)