[コメント] 天国の門(1981/米)
チミノは西部開拓史の闇だとかその中で翻弄される人々だとかそんなのはどうでもいいと言わんばかりに、画作りに執着。映画的バランスに欠けている。
149分版観賞。チミノの情熱だけはビシビシ伝わってきて、失敗作と切り捨てるのが惜しい。とはいうものの、219分版観てたら★2だったかも・・・。
『ディアハンター』の結婚式のシーンも長すぎたけれど、あれの場合はベトナム戦争と、それに翻弄された男たちの悲劇と結果的に対比することができたので許せた。でも、こちらの冒頭の卒業式はもはやつながりが見いだせない。いきなり、汽車の中のモノローグで始めても問題なかったはずだ。
大きなセットを組み、その中でたくさんのエキストラが出てくる。ところが、「これだ!」というものを印象付けるカットが存在しないまま映像が紡がれ、その映像は状況を説明するものの物語を進行させないため、結果的に「すごいなー」と思ってるうちに段々と慣れてきて、主人公たちの物語がどうでもよくなってくるという悪循環。
恐らく、この時代を忠実に再現し、その風景をカメラに収めることにチミノはどっぷりハマったのだろう。それはそれで個人的には憎めないけれど、当時のユナイテッド・アーティスツの人々にしてみれば、憎くて仕方がなかったかもしれないw
映画館で観たものの、現存するフィルムの都合上、スタンダードサイズでの観賞だったため、シネマスコープで映像を味わえなかったことはちょっと残念かな。
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