[コメント] 赤穂浪士(1961/日)
圧巻はなんといっても松の廊下の刃傷沙汰で、吉良上野介演じる月形龍之介が出色。いかにも憎々しげで、敵役の鑑と言うか、上野介はこうでないとあかん、という極めつけであった。
この憎々しさがあるから、誰もが赤穂浪士の肩をもっていても、すんなりと納得できるのだからたいしたもんだ。
それに話を、松の廊下のもう少し前のところ、一夜の畳替えの直後くらいから始めているから、内匠頭の悔しさが良く出ていた。役者が大川橋蔵で泣きの演技がさまになっている。
この映画では、重心を大石内蔵助と、上杉家家老の千坂兵部との葛藤と対立に置いており、それもまあ、悪くはないし、市川右太衛門と片岡千恵蔵のにらみ合いも悪くはなかったのだが、それでも彼ら二人を合わせたシーンも、月形龍之介の上野介の憎々しさには及ばない。
他にもいかにも娯楽時代劇らしい、内蔵助の一力茶屋での遊びのシーンや、「江戸っ子でぇ」と舌っ足らずな啖呵を切るシーンも、雰囲気を盛り上げて、けっこう楽しめた。
渋さと言う点では物足りない感じもあるし、いくら斬っても血が出ない殺陣もあれだが、まあチャンバラ時代劇と思えば気にならない。
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