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[コメント] 生きる(1952/日)

非常に考えさせられる映画であり、黒澤明監督の厳しさが印象深い作品であった。
シーチキン

**ネタバレ注意**
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黒澤監督の痛烈な「お役所批判」が随所に現れたが、それでも前半は、やや不自然ではあるが、志村喬が享楽への逃避と絶望、失望、不安を繰り返す様を、迫力ある演技で魅せていた。

後半からは、「生きる」ということについての黒澤監督の非常に厳しい姿勢がまざまざと表れたのではないだろうか。

冒頭の辛辣な批判と、「ハピバースディ」の印象的なショットで志村喬の生きる姿勢を強調しながらも、最後の葬式の所で、同僚たちが「自分も残りわずかな命と知れば」とこぼすのに対して「ばか」と一喝している。

確かに、寿命には誰にでも限りがある。この点では志村喬は確かに突出した状況におかれはしたが基本的な条件は皆同じであり、そうだからこそ「生きる」ことの意味は誰にでも突きつけられるものであることを明快に示した。

そして本当に人間らしく生きることの厳しさ、難しさをラストの市役所のシーンでリアルにはっきりと突きつけられたように感じた。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)氷野晴郎[*]

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