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[コメント] トランスフォーマー(2007/米)

これはコメンテータのNakamyuraさんが、自分のブログで時たま公開している『仁義なき戦い』フィギュアでやっているプロレスごっこと本質的には一緒のものなんだろうなあ。
シーチキン

要は、自分が気に入ったおもちゃで、自分がこうしたいああしたいということを第一義的にしてつくった物語にそって、適当にフィギュアなりおもちゃなりを動かしてみたということかなあ。

だから、ナカさんの人形劇を見て「暇だなあ」とか「バカやってらあ」と思いながらもまあまあ笑ってしまう、許せてしまう、という寛容の心で楽しめたという感想の延長線上にこの映画の面白さがあり、「くだらねえ」「いい年こいてあわれなもんだ」という否定的な感想の延長線上にこの映画のつまらなさがあるんじゃないだろうか。

もし、この映画を見ようかどうしようかと迷っている人がいたら、その前にNakamyuraさんのブログでフィギュア人形劇を一度見てから、「まあ許せる」と思ったら見にいけばいいし、「何じゃこれは!あほらしい」と思った人は見ないほうがいいんだろうなあ。私はそれを見ながら哀れを感じつつも楽しめるので、この映画も、見て一応よかったとは思う。ちなみにその最新作はコチラhttp://d.hatena.ne.jp/Nakamyura/20070702

もちろん、方や数百人だかの人手と膨大な投資と時間を費やし、方や一人のおっさんが小遣いを節約しネットオークションで中古フィギュアを買い込んで、たまの休日を丸一日部屋に閉じこもってしこしこやっているに過ぎないという、圧倒的なスケールの差、ある意味ではスピルバーグ、マイケル・ベイとNakamyuraさんの人間としてのスケールの差があるのだが、あくまでもスケールの差であって、同一線上に立っているともいえるんじゃないかと思ってしまった。

本作は、確かに映像技術はもの凄いが、元ネタに相応しいといったらおもちゃに失礼かもしれないが、穴だらけの適当な物語に、使い古されたアメリカンジョークと安直なヒロイズムを添えただけのもの。

それにハリウッドで蓄積された受けるための数々のテクニック(BGM、カメラワーク等々)を惜しみなくつぎ込んで、でっかいスクリーンで見れば、いろんな意味で迫力もスケールもアップしてそこそこ楽しめる娯楽作品に仕上がっている。

ただ、この映画を見てびっくりしたことの一つは、米軍の戦闘技術の高度さである。前半の砂漠での戦闘シーンで、地上の歩兵が近距離から標的に対してレーザーで照準をあわせ、それに連動して空から大型爆撃機が精密爆撃や大型砲での砲撃を仕掛ける。

本物の米軍がああいう戦闘をしているのかどうかは知らないが、イランなどからもれ聞こえてくるニュースなどを耳にして、米軍の精密攻撃の実態はこういうものなのかと思わせるに足るだけの迫力と合理性があった。

そして現在の科学技術の最新最高水準を備えた軍隊の実際として、これなら人口密集地である都会でも躊躇することなく軍事行動が出来るだろうなと、いささか寒気を感じさせるものがあった。

この戦闘技術があるから、敵に狙われている大事な「キューブ」をひと気のない山奥のダムから大都会のど真ん中へ移動させるなんてことを、軍人は平気でやるんだろうか?とさえ思ってしまった。ヘンなエイリアンによる地球侵略よりも、そこまで精密攻撃が出来る米軍の実力のほうがよっぽど怖い。

(評価:★3)

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