[コメント] 映画は映画だ(2008/韓国)
序盤の主演二人が邂逅するシーンは出色。特にソ・ジソブがすごい。アウトローとしての凄味と美学を身にまとい、見るものすべてを完全に制圧する。それはあたかも、甘美な毒薬のようだ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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そしてこの序盤のシーンは、血まみれのラストシーンと「対」をなしている。
それは見るものをぐいっと強烈に引き込んでいながら、そのまま奈落へ突き落とすような、衝撃と嫌悪のシーンだった。もうこの序盤とラストのシーンだけでも一本の映画になるのではないかと、そこまで思わせるほどの力をもった、2つのシーンだった。
もちろん、中盤のシーン、エピソードもよく練られているし、いかにも映画らしい良いシーンが多い。この積み重ねがあるからこそのラストシーンだということは、頭ではわかる。
わかるが、それは何と言うか、よい映画だという範疇での「良さ」のように思えてしまう。それだけの、すさまじい迫力のある序盤とラストのシーンだった。
最後、ほれた女優の舞台を見に行かないのは当然として、「俺は死人として生きる」と言い残してそのまま姿を消して終わらせるっていうのもあるかと思ったが、この映画はそんな生やさしいものではなかった。
カン・ジファンがいい俳優になったのなら、その「対」であるソ・ジソブもまた「いいヤクザ」を貫かなければならない。
自分をなめた者は絶対に許さない、そのヤクザの姿を荒々しく貫いてこそ、アウトローとしての凄味と美学、そして甘美な毒を身にまとうことができる。
この自明の理を鮮やかに示したラストシーンは賞賛に値する。素晴らしい映画だ。
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