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[コメント] ソーシャル・ネットワーク(2010/米)

SNSの創始者の話としてだけ見るのは貧しすぎる。周囲の戸惑い・反発、その中を主人公が突進できてしまうのはそれ自体が一種の欠陥で、それゆえに見えているものが違うのだ。それを時代の変化(権利の在り方等)の中に位置づける力量。面白かった。
ツベルクリン

はっきりいって、Facebookの創始者であることっていうのはダシでしかないんです。どうでもいことです。大事なのは彼が世紀の発明をしたこと(個人的にFacebookに興味はないですが)。それが人とつながるツールであること。しかし彼自身が人とつながれないという皮肉。

平たく言えば主人公は一人の天才ですが、彼の存在が如何に周囲を混乱させるか。しかし見ているほうはその混乱に一種の滑稽さが伴って見える。主人公の発言はたしかに「クソ野郎」な部分もあるけれども、常に一面の真実も突いている。それは彼自身もそれほど自覚的でないままに、先がはっきりと見えているからです。そして、彼のような人物をいくら既製の倫理観にあてはめて潰そうとしても、時代は今後、むしろ彼のような感性についていくことになるのでしょう。その有無を言わさぬ説得力が彼の人間性と共に徐々にうかびあがるようになっている。小気味よいテンポのセリフ劇とも言えると思いますが、その会話と展開の行間を見ていけば、この映画が描こうとしているものがそれほど単純でも表層的でもないことはわかるはずです。

ここに深みを見出せないのは映画ではなく所詮は見ている人間の問題でしょう。

町山智浩氏の「主人公はアスペルガーとして描かれている」という指摘を受けて一部改変。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)山ちゃん Osuone.B.Gloss[*]

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