[コメント] 東京原発(2002/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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もとより、プルトニウム輸送の運転手が睡眠不足なので最初から「ああ、このトラックは安全じゃないのね」という逆の安心感が生まれてしまって緊迫感がなくなってしまった。核ジャックの恐怖を描こうとするなら、輸送には細心の注意を払っていて絶対安全ですという前提を与えた上でその安全神話を崩壊させてこそ、見る側は「本当にヤバイことになった!」と思えるわけで。
しかも、この設定だと、核ジャックを止められる立場の人間は本来なら誰もいなかったことになる。少年の気まぐれで都庁に向かったからよかったようなものの、目的地が都庁じゃなかったら爆発を止める手立てはまったくなかったのだ。追跡者不在の逃走劇(あるいは特攻劇か)は、こちらが感情移入しようにも移入する対象が誰もいない、という、かなり歪んだ形になってしまっていた。
言ってしまえば、ミーハーな私はこの映画を見ながら青島刑事の登場を望んでいたのだ。都庁内部の会話劇はそのまま生かした形で、核ジャックのパートでは緑コートのイカしたアイツが「プルトニュウームが止まりませぇーん!」とか叫んでいるという、例えば、取っ掛かりは東京原発の予定地が湾岸署の管轄内に決まってさあ大変!というあたりから始まってたら、それはもうすごく面白い『踊る大捜査線』になっていたような気がするのである。ええ。まあ。無理ですよねハイ。
印象に残った台詞は「宇宙に棄てるにしても、打ち上げるのはあの宇宙開発事業団ですよ!」です。それこそ原爆だって。
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