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[コメント] さびしんぼう(1985/日)

クライマックス、漁港から石段までのシークエンスがどうにも好きでたまらない。
shiono

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







夕方、漁師と娘の露店の魚売りのシーンから始まる別れのシーンは、父子家庭のヒロイン橘百合子の貧困といい、母の形見の和服姿といい、スタジオシステム隆盛期の邦画文芸作へのオマージュなのだろう。多少とも映画リテラシーが身についた今になってわかった嬉しい発見。

そんな雰囲気は、続くさびしんぼうとの石段での別れのシーンにも持ち越される。二人の横顔アップと、やや引き気味で斜め下からあおった二つのアングルで撮影されているが、これは二台のカメラを同時に回したのだろうか。役者はたっぷり気持ちが入っているし、さびしんぼうのマスカラが流れ落ちるタイミングといい、とてもカットを割ったとは思えない。もしも監督に会うような機会があったらぜひ聞いてみたい。

ヒロキを軸にして場所を変え気象を変え、男女の立場を逆転させて恋の告白をさせるという繰り返しの連続技には号泣した。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ナム太郎[*]

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