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[コメント] ラブソングができるまで(2007/米)

ラブコメというジャンルは、映画におけるポピュラー音楽のようなものだ。すぐに忘れ去られてしまう紙クズの中に、時たまキラリと心に響くものがある。
shiono

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ヒュー・グラント、ドリュー・バリモアと聞けば、観客にある一定の期待値が線引きされる。作品はその少し上のセンを保ったまま、粋と野暮のくすぐりを入れつつ、意外と拾いモノという印象を与えて幕を引く。見るは易し、作るは難しのこのライン取りは、観客に媚びない堂々としたものだ。浅く薄く広げられたドラマだが、どこか地に着いた安心感をもって見ていられる。

ファミリータイズ』の脚本家としての実績を持つニューヨーク出身の監督だけに、コミカルな会話のやり取りと、911テロからのさりげないモチーフ − ツインタワーを連想させるスカイラインや、原点回帰のトーン、競争や上昇志向の棚上げ − といった保守志向が、ドラマとして深すぎない適度な落ち着きをかもし出している。ショウビジネスが何たるかをわかっているから、商業主義と創作者の狭間に横たわる葛藤が、自然体で語られているのもいい。グラント、バリモアの歌唱シーンもいいし、グラントのマネージャー、バリモアの姉、アイドル歌手といった脇役も魅力的だ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)junojuna[*]

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