コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 誰も守ってくれない(2008/日)

下手な演出故に妙にB級めいていて面白い。特に前半一時間の乱暴な展開はカーチェイスも含め楽しめる。木村佳乃の登場シーンの出鱈目さ加減もいい。
shiono

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







アバンタイトルのフラッシュは汚いし、佐藤浩市の過去の描写も貧困だ。だが松田龍平のチンピラ刑事や、一種類しか表情がない佐々木蔵之介の粘着質な新聞記者など、脚本にはない変な魅力が顔を出す瞬間がある。唖然とするような脇役のひどい芝居がある一方、台詞のないシーンでの佐藤浩市のふとしたカットにはっとさせられたりもする。容疑者宅での官僚的な手続きの暴力性もいい。

この不安定な演出がどこに転がるかを見ているだけで面白いのが前半の一時間。二日目、レストランでの朝のシーンからペンションに至る人間ドラマの起動とともに、興味は急速に薄れていく。柳葉敏郎の解説も退屈だ。しかしながら松田が騎兵隊よろしく再登場するとまた面白さが出てくる。尋問に答えない志田未来に何も声をかけない佐藤がいい。

初対面から自己紹介すらしない佐藤浩市と志田未来の人間関係が、没交流のまま推移するところが映画的だ。終盤の海岸での相互理解はまったく意味を成していないが、ラストシーンで車から駆け寄る志田と佐藤の間に、トニー・スコット「マイ・ボディーガード」のようなハードボイルドタッチが瞬間的に立ち現れるのも摩訶不思議だ。

(評価:★2)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)ぽんしゅう[*] CRIMSON[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。