[コメント] ジョーズ(1975/米)
サメが人を襲う話。こんなものに勝算を見出せるのは、あるいは映画界でスピルバーグばかりが『E.T.』『ジュラシック・パーク』『プライベート・ライアン』等においてのようにマーケットに追従してではなくマーケットを自らの側に引き寄せてヒット作を生み出せるのは、彼がまず観客として才人だからだ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ロイ・シャイダー、リチャード・ドレイファス、ロバート・ショウが海に出るのはむろんサメを狩るためだが、どれほどの装備をもってことに臨もうともそこは海、逃げ場のないサメのホーム・グラウンドであり、そこにおいて「狩ること」は一瞬にして「狩られること」に変貌する。と云うよりも、「狩ること」と「狩られること」は同一状況の異なる側面を云い表したものにすぎず、その点でこれはやはり本質的な意味で「狩り」の映画、すなわち文字通りに「原始」的なアクションと恐怖の映画だ。
また、主演三名の関係性のニュアンスがサメとの対決の成果にほとんど反映されない(ごく簡単に云えば、ショウが殺されること、およびシャイダーがサメにとどめを刺す大役を引き受けることを作劇的に正当化する手順が踏まれていない)というあたりは詰めが甘いともスピルバーグらしい歪みだとも云え、興味深い。
「撮影はビル・バトラー!」と云われるよりも、「マイケル・チャップマンがカメラ・オペレータなんだってさ」と云われたほうが豪華な作品のように聞こえますね。
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