[コメント] 嵐を呼ぶ男(1957/日)
これも私の知っている日本ではない。異界の物語である。同時代を舞台とした大衆娯楽として制作し、またそのように受け容れられてヒットした作品においても、日活美術部は恬然と異空間を創造している。ドラムスを叩く音と画は同調させる気などまるでないかのごとくにずれ、ほとんどシュルレアリスム。
私の記憶する限りでは、少なくとも三つの瞠目に値する空間把握のカットがある。石原裕次郎と弟の青山恭二が夜の街路を手前に向かって歩くカット。石原と青山が話をし、奥で電車が画面を左右に横切る実家近くの夕景のカット。石原が持永興業の連中に連れ出され、踊り子の女のアパートの裏口から廃ビルへ向かうカット。
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