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[コメント] ブラッド・ワーク(2002/米)

イーストウッドワンダ・デ・ジーザスが夕陽に染められた海沿いの道を歩くシーンの美しさは、イーストウッドのキャリアの中でも出色ではないか。トム・スターンという人物はブルース・サーティースジャック・N・グリーンにも劣らない撮影者らしい。終盤の「暗闇」と「水」はやりすぎなほどに映画的。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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「間抜けだが人のいい友人」という典型的でさえあるキャラクタのジェフ・ダニエルズとのバディ・ムーヴィぶりにはとても嬉しくなってしまった。イーストウッドは「教育者」としてではなくあくまで「友人」としてダニエルズと接しており、そのようなバディ・ムーヴィをイーストウッドはまだ撮ったことがなかったからだ。なぜかダニエルズに『アウトロー』のサム・ボトムズや『サンダーボルト』のジェフ・ブリッジスの面影を見て、勝手に目頭を熱くしてしまった、ということも告白してしまおう。だからダニエルズが真犯人だということは(物語を追う能力に欠陥のある私でさえ)うすうす勘付いていながらも、それが明らかになる場面は非常に衝撃的だった。簡単に云えばイーストウッドの思う壺ということなのだが、別にいいじゃないか。映画を見る楽しさとは、映画に敗北する楽しさだ。つまらない映画とは、人間ごときに負けてしまう映画のことだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)週一本[*] ナム太郎[*]

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