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[コメント] おっぱいバレー(2009/日)

日本映画特有の中だるみや、ごくわずかな時代考証の疑問はあるものの、よくまとまって楽しい小品。生き生きした少年達の姿に心なごむものがあった。
サイモン64

2009.4.29 梅田ブルク7にて鑑賞。しかしさすがに「おっぱいバレー」って題名はキツイよなー。45のオッサンが「9:30からの『おっぱいバレー』一枚」と、券売所のねーちゃんに言うのである。あー恥ずかしかった。

〜〜〜

ただのちょっとエッチな学園モノかと思って見に行ったのだが、案外シリアスなドラマで、結構感動してしまった。

舞台は九州。恐らく1964年生まれの私と、ほとんど同じ年代の少年達が主人公だ。この時代にはインターネットなんて便利なモノはなく、「プレイボーイ」とか「11PM」が、せいぜいエロ度マックスである。頭の中だけは性犯罪者同然の私たちスケベなお子様は、断片的な情報だけを元にしてひたすら妄想を膨らませていたのだ。挙げ句の果てには広辞苑で「抱く」とか「性交」とかの単語を引くという不毛な行為に走っていたのである。同級生の英和辞書の "SEX" の項に赤線引いて返すなどと言う犯罪にも走っていたのである。

そういう悶々中学生の前に現れた綾瀬はるか演じる新任先生が「バレーの試合に勝ったらおっぱいを見せる」と約束したんだから、これはがんばらないわけないよね。

生徒にはがんばってもらいたい、しかし見せたくない、しかし教師としてウソをつくわけには行かない‥‥逡巡の日々を送る綾瀬先生を尻目に、少年達はメキメキと成長を遂げ、ついに試合の日が近づいてきたが‥‥というお話。

この物語を彩るのは「オリビアを聞きながら」「ルージュの伝言」「燃えろいい女」「ヒーロー」などなど、若干時代は前後するものの、当時のヒット曲の数々だ。結局、中年が見て楽しい映画じゃないかとしょっぱなから気付いたのだが、そうするとインパクトの強すぎるこの映画のタイトルは来客を阻む要因になっているかも知れない。

曲もさることながら、当時の風俗や風景を極力再現した時代考証がすばらしい。雑誌や映画の看板類がすべてフェイクなのも感心してしまった。(11PMは当時の録画を再利用したのか、それとも映画のために撮り直したのかは不明。)綾瀬先生の部屋にCDらしきモノが積んであったように見えたが、それは私の見間違いかも知れない。ただ、その当時、片膝ついて伸ばした手を開いてヒラヒラさせる「どうぞ〜」的ジェスチャーは無かったし、襟足を伸ばした社会人もあまりいなかったので、そこには若干の違和感があった。

あと、過去の恩師との下りは、日本映画特有のダレたパートであり、ココはもっとばっさり短くできたのではないかと思う。

細かいことはともかく、目的のために一致団結して努力する少年達の生き生きした姿には心和まされ、楽しかった。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)ぽんしゅう[*] IN4MATION[*] picolax[*]

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