[コメント] セインツ 約束の果て(2013/米)
美しいオーヴァーラップ、クローズアップが多数ある。本年度最高ともいえる美しさを秘めたブラッドフォード・ヤングの撮影と、ルーニー・マーラを始めとする誇張しない慎ましさに満ちた演技陣を擁しながらも、今ひとつこの映画を肯定しきれない理由は、活劇的な泥臭さがもっと欲しいという一点に尽きる。
ランプ、太陽光、電灯、車のヘッドライト、銃撃戦を照らす光源不明の照明。このケイシー・アフレックは常に「光」と共にあるのだが、彼が列車と並走して乗り込む「瞬間」のショットや、ベン・フォスターから逃れるためバーの2階から飛び降りるショットなど、そういった即物的アクションを伴ったショットの中で表現してくれた方がなお良いと思う。それとも21世紀の映画編集はこういうのがスタンダードになっていくのだろうか。
・距離を頑なに描かないのは単に時代性を払拭したいがためだけなのだろうか。メロドラマに余分なものは極力排除したいということか。しかしそれって色々と撮るの難しくなるでしょう、と私は危惧するのですが。教会のベン・フォスターの視線、振り返るルーニー・マーラ、彼女が子供と手を繋いで道を歩いていく、これだけで充分だろうと言われれば確かにそうかもしれないが。
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