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[コメント] 桃色の店(1940/米)

ロマンチック・コメディのフラッグシップ級作品として、スチュアートの立居ぶるまいが映画であるGOOD作品
junojuna

コメディのセンスが色あせていないルビッチ黄金期の作品。何よりジェームズ・スチュアートの存在の安定感が、映画を悠然と運ぶのに役立っている。洗練された脚本は言うまでもないが、やはりスチュアートが体現する“飄々としていて粋”という稀有な存在感なくして語れない作品であろう。数十年が立ってリメイクとなった『ユー・ガット・メール』のトム・ハンクスには出せない唯一無二の天賦の才を感じる。どの作品を見ても、スチュアートは、状況巻き込まれ型ドラマにその才を発揮する。長身にして端正。二枚目であるはあるのだが、基本、彼のダメっぷりが映画においては原動力となる。決して、ベタな三枚目ぶりには落ちていかないところが、また、彼が体現する演技の信条でもある。可愛げのある実に憎い男である。ルビッチはさぞかし、実人生においても面白い男だったんだろうなぁということが伺える。そして助平だったに違いない。きっとそうだったはずだ。物語の展開、演者の身のこなしに対する演出、台詞・・・どれも洗練された色気のある施しだ。まさに黄金期。叶うものならば、私はルビッチになりたいものだ。おしむらくは小津安二郎もそう思ったに違いない。なんせエルンスト・シュワルツだもの。しかしながら、どこからシュワルツ?ふと思い出した。小津の『お早う』で見せた“屁”ネタが大好き。今し方我もプー。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ゑぎ[*]

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