[コメント] TOKYO TRIBE(2014/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
(けなしている部分は、原作のせいかもしれません。未読です。ご容赦下さい。そういえばヒップホップ好きじゃないし、、、)
園の思想とシナリオは、劇中で完結させてはいけないのだと思う。大風呂敷を無理矢理畳んでる感が強くて、他人事のように感じてしまう。ここまで割り切った簡単さではない、うまくいかない、解決つかないことは重々承知、それでも地獄の底から、複雑な『頑張れ』を言わずにおれずに提示してきたのではなかったか。その言わずにおれずに感が重要なのだが、そういう切羽詰まったものがないし、ちょっとバカにされた気分にすらなる。解決させる物語だと何だかつまらなくなる。『愛のむきだし』や『ヒミズ』が懐かしくなる出来だった。今回は愛せるシーンがほとんどない。
トーキョー=世界がカオスに至った発端が「チンポのデカさ」についての揉め事であった=世界の諍いなど、根っこはくだらない、という挑発的な歴史認識は好悪半ばするところ。
地震のシーンは異物感があってなかなか印象的だったが、あまり彫り込んでない。いつ終わるかもしれない腐った世界のために何故血を流すのか、というテーマと密接に結びついてる要素だと思うんだけど(もっとガンガン揺らすのかと思った)。「夜明け」を描きながら、テーマ上重要なはずのその描写が微妙なのもキツい。大体一夜にねじ込むのは無理筋すぎる。
あと、冒頭にも書いたが、タランティーノは格が違うから、『キル・ビル』がどうとか目配せするのはちょっとやめて欲しい。鈴木の殺陣や、亀吉のクネクネ武術など悪くないところもあったが、タラの編集とカメラは、こんな早漏演出と違うし、鳥肌立つほど映画的なリアルが混入する瞬間がある。(顔にかかった血飛沫を咄嗟に拭うとか)『時計仕掛けのオレンジ』からの拝借もちょっと嫌だった(原作のせい?)。『ニューヨーク1997』からのシャンデリア付きの車もちょっと嫌だった(原作のせい?)
ラップミュージカルという形式は、冒頭では要領のよさというか、快楽的なテンポを生んでいたけど、メリハリが以降ついていないし、一部でラップに逃げたような箇所も。試みとしてはテーマと音楽の志向性が合致していて悪くない試みだったと思います。(まあ、ヒップホップ好きじゃないんだけど、、、)
「眠気の抜けた吉瀬美智子」に激似の清野菜名にはギョギョギョと目を剥いた(すみません、知らなかったのですが、これはどストライクです)。園。この助平野郎。が、パンチラは満島ひかりの前例があって際立たず、不憫に思いました。坂口茉琴はかなり熱かったです。鈴木亮平もそれなりだったので、星はこの三方に進呈します。あと、園の青臭さってやっぱり嫌いになれないんだよなあ。
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