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[コメント] 孤狼の血(2018/日)

役所大先生の右も左もなぎ倒す全能感が次第にクセになり、戸惑う松坂との対比で黒い笑いのリズムを生む前半。キッタナイ役所大先生が大好きな私には最高のアイドル映画で、石橋御大との対峙など、願ってもない顔合わせが垂涎モノ。それでも、時代の中でこうあるしかない、汚れ承知の義だったという吐露と顛末も期待通りの絶対アイドル映画。
DSCH

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







前半部は深作オマージュというかパロディ寄り。『仁義なき戦い』風のナレーションも、特にシメられた闇金経理の生首発見あたりの笑いの演出の後に置かれたりすると、あえての脱臼的作りに見える。このあたり、思考停止の縮小再生産ではない戦略が嬉しい。言ってみれば、「戦後」を経過してなお繰り返されるこれらは、時代が移り変われば、もはやパロディにしかならないのではないか。矮小化された、パロディとしての仁義なき日本。

とは言え、後半部の無常への転調はそれはそれでいい。俺がやらなきゃ誰がやる、と、大上は自らをパロディ化した無為な時代の生贄にし続けたということだ。死んでからも男を上げる究極のアイドル化である。

一番笑ったのは「真珠」のくだりではなく(ここはほとんど深作ではなく園子温的)、「うな重喰いながら三途の河渡る奴がどこにおるんじゃい!」かな。松坂に鉄拳食らって失神→次のカットで怒りもせずニコニコ成果報告するくだりもおかしい。こういうリズム好きです。

(評価:★4)

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