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[コメント] 都会の牙(1950/米)

怪奇大作戦みたいなノリでそれなりに愉しめる小品。個人的に見処はクラブでのジャズ演奏で、登場する黒人ミュージシャンは無名のようだがビ・バップがやたらとアツい。聴き狂っている客がいるのも当時のリアルなのだろう。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







格好良くないデカ頭のエドモンド・オブライエン主演に独特の味。解毒剤がない、二週間以内に必ず死ぬ毒呑まされて、病院で大人しく寝ているという選択肢を一顧だにせず原因追及。しかしこのときはまだ、悪の匂いは彼の周りになかったのであり、ただ知らない顧客から謎の電話があったというだけだ。

それなのに、彼が死んだと知るやアポも取らずにシスコからロスまで飛んでしまう。その距離は600キロ以上あるのであり、途中で死んだらどうするのだと思う。そもそも、呑み過ぎで精密検査受けるのもへんだ。こういった、ちょっと待てよオカシイだろという無理矢理感がB級映画を発動させている。事情聴取に応じる殺人課の上司は梅宮辰夫激似。

彼に何度も何度も電話して、最後は会いに行ってしまう十人並の容姿のパメラ・ブリットンがどんどん愛おしくなるのが本作のいい処。これが幸せだったのだ、彼女を連れて旅行していればこんな災難に遭わなかったのに、という教訓劇に小さくまとまるのも悪くない。

背中を延々追っかけて殺人課のドア開ける冒頭とか、銃撃から逃げて潜り込んだ廃工場で上からモノが狙って落とされる前に鳩が上から舞い降りてくるショットなど印象的。デパートで拳銃振り回すネヴィル・ブランドの後頭部目がけて瓶投げつけて命中させる店員の老人が私的ベストショット。ブランドは精神病の殺人狂、と語られる科白はオーバーダブで消すべきだろう。そんなことすると愛好家は怒るのだろうか。

てんこ盛りの物語は名前の会話だけで転がされて実に判り難い。これもノアールの伝統なのだろう。DOAは警察の「到着時死亡」の意と、最後に判子押される。パーティではラバンダが踊られている。ルミナスなる毒は実在するのダと映画は医師の説明つきで教えてくれるのだが、ネットでは発見できなかった。もしかしてハッタリだったのだろうか。アッコちゃんの呪文はラミパス。「ラミパス ラミパス ルルルルル〜」は「スーパーミラー」の逆さ言葉の由。

(評価:★3)

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