[コメント] ユメ十夜(2006/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
1夜 スカートめくりとか久世光彦らしい細部があるが何もできず。百ケンとかツィゴイネルワイゼンとか小手先をこねくり回すだけで終わった。窓の向こうの馬鹿でかい観覧車がいい。
2夜 原作中もっとも半端な出来で、受け持たされるのは気の毒。最後に坊主の半畳を入れて転覆させているが何事も起きず。
3夜 これが面白い。原作も面白いのだが、漱石の子供の事情とか母親のお地蔵さんの思い出(もいだ首の後悔)を重ねて発見がある。
4夜 これも面白い。少年時代の療養先で女の子が大人の主人公を「ソーセキ」と呼び続け、逃げ続ける。それだけの作品。
5夜 Jホラー風で平凡。森の中の電話ボックスなんて平凡過ぎるだろう。
6夜 運慶の話。ブレイクビート込のアングラ芝居でどうでもいいのだが、自分でも彫ってみたらコミカルな蛙か何かがでてきたというオチはいい(原作では何もでてこない)。
7夜 人形アニメで、巨大な船から無限に転落する絶望の原作を反転させて、1夜の金魚を巨大化させて、いかにもアニメらしい希望を語っている。
8夜 笑えなかった人は残念でしたというノリの山下敦弘らしいナンセンス。学生時代のホラー回帰の気分もあったのだろうか。内輪のギャグめいていて金を取れるレベルにない。
9夜 原作の厭戦をトレースするのだが最後のお囃子の劇伴で全部を茶化してしまう。照れ隠しにしか見えず、西川美和ってのはいつもこんなものだ。凡才だと思う。
10夜 大林風の漫画で原作のナンセンスを拡大している。ホンさえよければ『モテキ』みたいないい作品にできる手法なのだろう、とは思った。
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