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[コメント] メッセージ(2016/米)

大風呂敷の広げ方は堂々たるものだが、回収はセカイ系の受難劇
寒山

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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未来を知ってなおこれを受け入れるエイミー・アダムスの覚醒、これは七本蛸足星人の認識なのだろう。いかにもユダヤ・キリスト教的な、神(蛸)と預言者(アダムス)の物語である。それは個人の人生の決意としては美しかろう。

しかし何でこれで世界を救えるのかよく判らない。中国の大佐が和平を選んだ未来を知って中国に伝える。じゃあ中国が戦闘を選んでいたらどうするのだろう。素朴に判らない。それこそがお定めになった蛸(神)の偉いところじゃん、という希望的観測な予定調和は、所詮のところセカイ系だ。

まるでアダムスを待つ今後の個人的な苦難が世界を救う代償であるかのような受難劇は大仰、そんな都合のいい話、現実にはないよという白けた感想が湧き起こるが受難劇好きのキリスト教徒には意外とリアル話なのかも知れんとは思う。本作は『スローターハウス5』の未来に係る諦念と真逆の肯定性がある訳で、方向性は美しいが何にせよ結実していない。

前半の意味不明感は面白く観れた。大風呂敷の広げ方は立派なものだと思う。SF映画としてのオリジナリティがいかほどのものかは、最近のSFには無知なので測りかねるが、あの石板みたいな宇宙船は『2001年』のモノリスのどデカい版だし、ファーストコンタクトの現場や非難する市民の描写は『未知との遭遇』を想起させられる(ただ急いで造られたテント集落の描写はリアルでとてもいい)。

なお、中国・ロシアと並んでスーダンが宇宙船に宣戦布告をしているが、そういう認識なのだと勉強になった。背景ピンボケ連発のキャメラは相変わらず好きになれない。

(評価:★3)

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