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[コメント] 台風騒動記(1956/日)

土建屋系の町会議員三島雅夫ほか助演陣のお祭りのような作品で、これでもかとばかりに露悪的な町議会が、場所を料亭に移してほとんどロマンチックに議事を運営する。多々良純の警官もえげつない。
寒山

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







山本薩夫作品の善人は面白くない。体制を嗤う庶民の造形が生真面目かつヒステリックになりがちで、これは監督が下手なのではなく、当時の組合運動の面々がそのように生真面目かつヒステリックであったのであり、監督はそれを鏡の如くリアルに描写した結果なのではないかと想像する。

本作は佐田啓二のスーパーマン振りが面白いが、しかし悪人の「魅力」には及ばない。悪人しか登場しない後期作品は、監督が自らの資質を冷静に判断した結果だったのか。それとも組合運動が下火になって監督の描くべき世界に悪人しかいなくなった結果なのか。映画における、世間における人間の魅力とは何ぞやと考えてしまう。

ともあれ、本作、ルポの映画化だから実話なのだろう。台風の被害者を避難先にほっておいて小学校建設に勤しむなど、当節では考えられない極端であるにしても、公共事業における「町の発展」とは、このように一般市民より事業者の利益を優先させるものであることに変わりはなかろう。本作はこれを原初的なところで確認させてくれる。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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