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[コメント] 翔んだカップル(1980/日)

映画100年の歴史はセックス描写発展の歴史でもあるが、本作が青春アイドル映画(しかも東宝)でセックスを解禁したのは画期的だったのではないだろうか。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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鶴見辰吾は、服はだけている石原真理子とは事後の描写だろうし、前村真由美とは同衾シーンがあるし、薬師丸ひろ子とも私キレイの件の後で寝ているだろう。 戦前から邦画は(ハリウッドよりも)十代男女を多く取り上げたと思われるが、性欲は石坂洋次郎や吉屋信子ものならサイクリングで健康的な発散が奨励されたものだ。本作も鶴見はボクシングをしているが発散に失敗している。ロマンポルノの延長の作品という気がする。

本作には大人が出てこない。バー店主の柳井博が断片的に登場するだけ。無理矢理泊まりにくるボクシング部の先輩西田浩が大人の役回りをしているのだろうが中途半端。相米はこういう処に熱心でない。丸山昇一のホンは熱心だったのだろうが、まるで重視していないだろう。

本作が名作なのはそんな処ではなく、薬師丸の坂下への自転車突撃、クジラの浮遊とモグラ叩き、そして密告に至る尾身としのりの路上漫才とか、お面がぶってミラー歪ませるショットという、突然現れるパッションが素晴らしかったからだった。これらの件がなければ、本作はひどい映画だっただろう。

鶴見が大家という設定は何度観てもよく判らない。君はローレライは恥ずかしい歌だし、「オロカねえ」「シャラップ」「大丈夫かなあ」みたいな云い回しはいまだに背筋が寒くなるものがあるが、まあこれらもすでに歴史なんだろう。「死ねば」とピョンピョン飛ぶ薬師丸が私的ベストショット。「オリジナル版」を再見。

(評価:★4)

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