[コメント] ダンディー少佐(1965/米)
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アメリカの南北対立については、アパッチ戦争出兵にあたり北軍はリパブリック賛歌を唄い、南軍捕虜はいとしのクレメンタインを唄う。南軍の黒人差別は諫められ、ヘストンはリチャード・ハリスに「君は一生持てない大規模農園のために戦っている」と警句を吐く。両論併記ではなく北軍びいきの作劇に見える。しかし、これ以上のものは見当たらなかった。
特に賑やかなのはメキシコ放浪で調達のために入った村の件。邪魔な駐留フランス軍を攻撃。「国際法が」「少佐は弁護士ではない」とフランスのロバだかをバラして村人喜び。このお愉しみタイムの中盤は愉しい。話がセンタ・バーガーの女の人生に横滑りするのもいい。フランス軍はただの邪魔ものとして描かれ容赦がない。
だがその後、仏軍が村へ報復とあり、話は殺伐として、あとは内部対立に対仏軍に対アパッチと色々あるのだが、撒いたネタの回収以上のものがない。外形的に任務は達成された、しかしその内実は虚しかった。そういう感慨が求められたのだろうが地味。リチャード・ハリスが戦死してもそれがどうしたとしか思えなかった。
南軍ウォーレン・オーツの脱走捕獲と処分の件は短いが実に味があり、比較せざるを得ないのだが、結局は主演ふたりが平凡ということなんではないかと思われる。もうひとり、生真面目な中尉のジム・ハットンのユーモア込みの造形はオダギリジョー似で面白かった。本作ではストップモーションとか使わないんだね。馬どんどんぶっ倒れ、現代では考えられないほど酷使され、最後は下校時刻を過ぎた児童のように小学校から駆け足で去っていった。
原作者は『ダーティ・ハリー』の人。ジェリー・ブレスラーというプロデューサーが最悪で、ペキンパーは時間・予算超過で馘首され、ヘストンがノーギャラを申し出て救った(いい処あるじゃん)が、編集権は製作者が独占した由。
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