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[コメント] フェリーニのアマルコルド(1974/仏=伊)

カサノバ』『女の都』へと続く性風俗映画で『グローイング・アップ』シリーズが想起されたりする。ファシズムの「美しさ」とは対極の出鱈目で故郷を救おうとするかのようだ。
寒山

**ネタバレ注意**
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三十年振りの再見。一番覚えていたのは雪に降り立つ孔雀(霧の中の一角獣とイメージがWり二番煎じに見えるがなぜなんだろう)。海岸の遠景から誰かが「もう終わりだよ」と叫び、そして映画が終わる、というラストだった記憶は嘘だった。それは他のフェリーニ映画だっただろうか。

木の上で「女が欲しい」と連呼するチッチョ・イングラシアのおじさんとか、巨乳に押し潰され窒息しそうになりながら持ち主に「息を吐いちゃ駄目、吸うのよ」と命じられるブルーノ・ザニンの受難など、性的な欲求不満が縦横に描かれ、娼婦マガリ・ノエルは軍人に嫁いで終わる。

ファッショ台頭は断片だけだと思っていたので、父のアルマンド・ブランチャがリンチされる描写があるのに驚かされた。『ローマ』や『オーケストラ・リハーサル』はファシズム由来の作品だと感じていたので、ここにも一貫性が嗅ぎ取れるなら、ただ少年期の回想という通念(それだけでも無論上等だが)から本作を救うことができるだろう。

この父、そして死んでしまう母のプペラ・マッジオは、性風俗喜劇の登場人物としてまるで美しくない老夫婦だ。そしてファッショはムッソリーニのどデカいコラージュのポスターとともに美的に到来する。ヴィスコンティはじめファシズム映画は性的に爛れて美しい。本作はそれら事態から喜劇的に故郷を救おうとしているかのように見える。私的ベストはこの一家のドタバタ昼食風景。

(評価:★4)

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