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[コメント] 4分間のピアニスト(2006/独)

人生最後の輝きを演出できる人は幸せだと思う
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







老女は知っている。 これが人生最後に出会えた“美”であることを。 だから必要以上に固執する。

若い女は知っている。 これが最後の機会であることを。 だから心のままにプレイする。

たいへんシビアな話だが、見方を変えれば、彼女達は幸せなひとときを過ごしたように思える。 それはハリウッド的な安易なハッピーエンドなどではない。 お互いに衰弱するほど魂をぶつけ合った果てに見える一瞬の光である。 終始仏頂面の老女と攻撃的な女が、表面的な傷の舐め合いではなく、深層に大きく横たわる闇を静かに溶解させた先に瞬く光である。

一瞬だが、真の輝き。

その瞬間を、この映画は映像として捉える。 もちろん演奏も素晴らしいが、音楽だけに頼っているわけではない(感動的な音楽に頼った映画がなんと多いことか)。もちろん台詞に頼ることもない。 映画として、映画らしい瞬間を見事に捉えている。 良い話だし、良い映画だ。

個人的に、ドイツ映画は登場人物の感情が理解できない場面が多いような気がするのだが(この映画も例外ではないのだが)、冒頭から力のある映像でグッと引き込まれる。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)狸の尻尾[*] 空イグアナ[*]

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