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[コメント] 色即ぜねれいしょん(2008/日)

こそばゆいだけでツボを押してくれない。下手なマッサージみたいな映画。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







MJことみうらじゅん先生の原作は未読。 にも関わらず、よく聞かされて知りすぎた話。設定は丸々自伝(臼田あさ美の口もとなんて、みうらじゅんがマンガで描く女性にそっくりだ)。 通りに面した角部屋で、蛍光灯からぶら下げたマイクでカセットテープに録音した自作曲も実際にいくつか聞いたことがある。 いや、文化祭の観客を沸かせるような曲じゃなかったよ。一味もふた味も、いや五、六味足らない。 MJは、仏像からユルキャラまで、トン祭り(トンマな祭り)からカニ料理の旅行パンフまで、世の森羅万象の“魂”を発見することに関しては優れた才を発揮するが、自ら産み出す物には“魂”が入っていない。

そんな、おそらく魂が入っていないであろう原作を、変にいい話にしようとしてるもんだから、“くすぐり”だけの上っ面映画に見えてしまう。

だいたいさあ、原作ウンヌン抜きにしても、「悩みらしい悩みが無いのが悩み」という“前フリ”があるわけでしょ。家庭教師の彼女が妊娠したかもしれない件に「大人の悩みだ」という“中フリ”まであるわけでしょ。 そしたらドラマツルギーとして、主人公は大きな悩みの壁にぶち当たらねばならんじゃないですか。 その大きな悩みを乗り越えての成長じゃないんですか。 成長の引き換えに何かを失っての「ひと夏の体験」じゃないんですか。

だってさあ、色即是空にまつわる授業聞いて勝手に開眼しちゃうんじゃ、「不良にも優等生にもなれない」どころか、仏教高校では優等生じゃないか。

それに、不良と文科系の和解なんてエピソードいらんのですよ。 もしやるんだったら、最初の頃しばしばやった「妄想」を活用すべきなんじゃない? オリーブのことや恭子ちゃんのこと、文化祭のこと、いろいろ上手く行き過ぎてるのが全て「妄想」で、現実はそんなに上手くいかなかったけど、ちょっとだけいい事があった。 なんてのはどう?

余談

大昔、恥ずかしい話、堀ちえみのファンだったんだ。過去の汚点と言ってるんだけどね。あのねえ、今見てもちょっと可愛いと思う自分がいる。俺の色即ぜねれいしょん。

(09.08.28 吉祥寺バウスシアターにて鑑賞)

(評価:★2)

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