コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 十二人の怒れる男(1957/米)

なんてサスペンスフル。白熱の論戦の向こうに見えるのは人間性。今でもあまり変わらん。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







十数年ぶりに再び観る。いい映画はいつ観てもいい。 大どんでん返しやあっと驚くオチ、という類の映画ではない。結論に至るまでの過程に手に汗握り、その議論の向こうに見えてくる「人間」こそがこの映画の描きたいことなのではなかろうか。

この映画の勝利の一つに、室内劇であることが挙げられる。

普通なら、事件発生当時の状況等を回想を折り込んで見せてしまいがちだが(それはそれで正解の場合もある)、この映画ではカメラは室外に出ない。観客は、真犯人探しを一緒にする余地を与えられず、ただ議論の行く末を見守る事しかできない。だから熱い(暑いし)議論に集中してしまうのだ。

もう一つに、二重の時間軸が挙げられる。

上映時間と議論の進行はほぼシンクロし、リアルタイムで議論の行方を観る事になる。もう一つは、議論の向こうに見えてくる事件当夜の時間の流れだ。これは順序立てて我々観客に提示されるわけではない。しかし、話を聞いているだけでその状況が理解出来るように作られている。そしてその状況が断片的に提示されるに従って、真実(かどうかは定かでないが)が明らかになっていくのである。当然と言えば当然の作りなのだが、実はこれ、重要なサスペンス(広い意味での謎解き)の要素なのだ。

劇中、明らかにタカ派の人が二人ほどいるでしょ、差別と偏見に満ちた。これってどこでも変わらないんだなあと、昨今の「作る会教科書問題」の事などをちょっと考えた。もちろん映画を見ている最中は、そんな余裕はないけど。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)peacefullife[*] 24[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。