[コメント] トラック野郎・男一匹桃次郎(1977/日)
久しぶりに見てしまった。小学生の頃の価値観は、「男はつらいよ」よりも当然、絶対「トラック野郎」であった。それ程の魅力は今となると、この「バカオーラ」にしか見出せない。突然、ミニチュア特撮になって、トラックがジャンプしちゃうなんて、普通の感覚では思いつかない。ふぐに当たったからといって土に埋めて泡を吹いているシーンというのも、思いついたままを実行するバカパワーを感じる。
また、そんな監督のバカオーラに感染したのか、主演の菅原文太のバカっぷりも脱帽。吉本興業のそっくり芸人「シベリア文太」と見まごうかと思う程のくだらなさ。文太が居なければ、このシリーズは成り立たないとはいえ、どうしてこんな仕事を引き受けたのか謎ですらある。文太に限らず、この映画に出ているとどんな役者も仮面を剥がされ、裸のバカになる。これは若手の夏目雅子や清水健太郎に留まらず、若山富三郎すら杉作J太郎に見えてしまうバカっぷりだ。元々バカを演じるばってん荒川ときたら、バカ度がターボチャージャーにかけられたようで、妖怪のような無敵バカになってしまっているのも見物か。
先日、愛川欽也のインタビュー番組の中でこのシリーズのことが出てきたが、企画も主題歌も愛川が提案したモノらしい。どこまでが愛川のアイデアなのかは定かではないが、愛川のサブ配役としての「ジョナサン」も、子沢山というキャラといい、また、その子供達の細かい役割(フェミニストの台頭の時代なのか、眼鏡をして糾弾口調の女の子が居たりする)にも、バカぶりに手が込んでいる。
今では、「デコトラ」は一部マニアのモノとなり、一般人とは離れた世界になってしまったが、このシリーズを見ると、やはり、デコトラに憧れていた自分を再発見してしまう。「男らしさ=バカ度」だった、昭和の豪華なバカっぷりを、今一度、再確認したい。
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