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[コメント] ジュラシック・パークIII(2001/米)

例え「ジュラシック・パーク」と冠されていようと、そこに“現代に恐竜を蘇らせる”という1作目の感動が無い限り、サイトBは恐竜アクション映画の舞台に成り下がる。
荒馬大介

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ……まあ今回はそうだと割り切って作られた映画なので、成り下がったことを嘆いても仕方が無い。だとしても、1作目で“自然の摂理を覆すことの愚かさ”を秘めていたことで多少なりとも崇高な意思を感じたこのシリーズも、2作目では恐竜達を無理矢理島の外へと引っ張り出した上で安直な動物保護精神に走ったおかげで撃沈。そして今回は再び島に舞台を戻し、そこかしこに1作目への原点回帰を見ることは出来たが、むしろこれは2作目でやるべき内容だったのではないか? スピルバーグは何を思って島から引っ張り出したのかが、なおさら分からなくなってきた(おかげで2作目の評価、さらに低下中)。

 おまけにサム・ニール自身が「あの島で作られたのは恐竜じゃない、モンスターだ」と公言してしまった。つまり、ブラキオサウルスもプテラノドンも、純粋な古代へのロマンなんかではない、奴等は生物であり怪物でもある……と映画が認めている。その顕著な例がスピノサウルスだろう。確かに実在した恐竜ではあるが、その背中の巨大なヒレや細長い顔付きは、どうだ。その無骨で怪獣っぽい姿は、過去2作で恐竜の王者的存在だったティラノザウルスが作り上げてきたリアリティーをあっさり破壊するくらいの衝撃があった。もはや、ジュラシック・パークがリアル云々で無くなったことの象徴ともいえる。

 とはいえ決してつまらなくは無かったのでこの点数だが、スピルバーグが監督でなしに製作側に回ったということは、もう恐竜への愛情が(無いわけではないが)減ったということの現われなのか。自分でシリーズを駄目にしといてなんだそりゃ。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)わっこ sawa:38[*] すやすや[*]

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