[あらすじ] 黄金時代(1930/仏)
これは『アンダルシアの犬』に感激したコクトーが、やたらと人のよい(ブニュエル談)ノアイユ子爵に彼を勧め、その風変わりなパトロンを得たことで制作された初期作品である。
ノアイユ子爵としては(やはりパトロンをしていた)ストラヴィンスキーとのコラボレーションを望んでいたらしいのだが、「天才と(一緒に)仕事をしたくはない」という理由でブニュエルはそれを断ったとのこと。また、ガラの悪影響(ブニュエル談)を受けまくっていたダリとはもう共同作業をすることはできないと悟り、ほぼ自分一人で監督した最初の作品でもあるそうだ。
サソリの生態記録からはじまりマルキ・ド・サドへのオマージュ(この映画を撮る少し前に読んだ「ソドムの百二十日」にひどく感銘を受けたとのこと)で終わるこの映画は、ブニュエル映画お約束のブルジョアジー理念(翁が言うところの家庭、祖国、宗教など)に対する攻撃も満載。一見、『アンダルシアの犬』と似たタダの前衛映画を装いつつも、ブニュエル自ら「「アンダルシアの犬」には社会批判はひとかけらもない。(しかし)「黄金時代」にはある。」と語るほど顕著である。
…というわけで、この作品を上映していた映画館は数百人の極右に襲撃されるは(ロビーにかかっていたダリの作品もズタズタにされたらしい)、パトロンのノアイユ子爵はローマ法皇に破門されそうになるはと大変だったらしい。もちろん、こういったスキャンダル勃発後には公開禁止の憂き目にもあっている。
が、「エゴイストの打算の凍った水の中で」とタイトルを変え、カモフラージュして公開し直そうとさえしたというのだから、やはりこの翁は(って、当時はまだ翁じゃないんだけど)たいしたものです…。(ちなみにこの計画は、カモフラージュということが検閲にバレて失敗したらしい。)
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