ワイオミング在住の作家アニー・プルーによる、雑誌「The New Yorker」に掲載された短編小説の映画化。ヴェネチア国際映画祭金獅子賞、ゴールデングローブ賞の作品賞・監督賞・脚本賞・主題歌賞の4部門受賞、アカデミー賞では監督賞・脚色賞・音楽賞の3冠に輝いた。

Brokeback Mountain（背のくぼんだ馬 brokeback horse に山の形が似ていることが名前の由来）は架空の地名であり、撮影自体予算の関係もあってカナダで行なわれているにも関わらず、映画の影響でワイオミング州への観光客が急増したという。また「brokeback」がゲイを指す言葉として流行語になり、「brokeback marriage」（ブロークバックな結婚＝いずれかがゲイの夫婦）のようなフレーズまで生まれるなど、社会現象ともいえる大きな反響を呼んだ。

その一方、カウボーイの同性愛を扱っている内容への反発から、米中部のユタ州など保守的な地域では上映中止になったり、出演のミシェル・ウィリアムズが母校から“絶縁”されるといったこともあった。またアカデミー賞でも作品賞の有力候補とされながら『クラッシュ』にさらわれたことも、作品の内容が一因だとする見方もある。