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[あらすじ] 次郎長三国志・殴込み甲州路(1953/日)

マキノ雅弘監督による東宝版・次郎長シリーズ第5部。清水の港は秋祭りでにぎわっていた。おまけに婚礼というおめでたも重なり、呑気に浮かれる次郎長(小堀明男)の子分たちである。一方、甲州に開いている賭場が、当地のやくざの手先である勘助(小堀誠)という男によって荒らされているという知らせが、次郎長のところに届いていた。詳しい様子を知るべく、まずお仲(久慈あさみ)が甲州へ旅立つが、やがてそのお仲が勘助に捕らえられたという続報が入る。勘助を倒し、お仲を救い出さねばならない。いざ、甲州路殴り込み![77分/モノクロ/スタンダード]
Yasu

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このシリーズのファンであった加東大介は、親戚筋に当たるマキノ雅弘監督に「ぜひ出演させてほしい」と頼み込み、前作『勢揃い清水港』から次郎長の子分・豚松役を演じることになった。

ところが加東は本作の製作中に、黒澤明監督の『七人の侍』に出演が決まり、次郎長シリーズに出演を続けているとスケジュールのやりくりがつかなくなることから、本作限りでシリーズを降板することになった。このため、撮影にかかっていたマキノ監督の元に「ブタマツ コロセ」という電報が東宝本社から届けられ、監督は急遽脚本を修正し、ラストの殴り込みシーンで豚松を死なせる設定に変更せざるを得なくなった。

もっとも実際には脚本を書き直す時間的余裕はなく、マキノ監督は最初に数行書き込んだだけの原稿用紙の束を持ち歩き、さもビッシリ書かれているかのように目を通しながら、ほとんど即興で演出したそうである(撮影も終盤になったある時、監督がこの原稿用紙をうっかり落としてしまい、白紙だということが俳優にバレて冷や汗をかいたという話も残っている)。

加東大介本人は「こちらから頼んで出演させてもらったのに、こんなことになって申し訳ない」と恐縮しきりだったそうだが、マキノ監督のほうは「黒澤明のシャシンに出られるなら、そのほうがいいじゃないか」と言っていたという。

なお本作では、シリーズを通して次郎長を演じる小堀明男の父親、小堀誠が出演し、親子共演を果たしている。

(評価:★3)

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