[あらすじ] 銀河鉄道の夜(1985/日)
映画を見終った人むけの解説です。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
後半に出てくる沈没船のモチーフは、タイタニック号の事件である事が解ります。この作品で幻想感を醸しだした音楽担当細野晴臣氏は、日本人乗客としてたった1人タイタニック号に乗船していた細野正文氏の孫にあたります。
細野正文氏は鉄道員副参事としてペテルスベルグでシベリア鉄道の敷設を手伝っていました。ロンドンからニューヨーク経由で日本に帰ろうと、二等船客としてタイタニック号に乗り込みます。事故の時は自室で睡眠していましたが船の異変に気付き、乗員の誘導に従って下方に降ります。やがて、おかしいと思い引き返して甲板に出ると「あと二人乗れる」という声に従い、”最後の”救命ボートに乗ったため一命を取り留めています。
しかし、イギリス人に「無理矢理乗り込んできた日本人がいた」「日本人が救命ボートに隠れて乗り込んでいた」という汚名を着せられ(実際には中国人だった様です)、本国では「女性や子供を出し抜いて助かったお前は、日本男児の恥だ」とされ、職を追われるなどの不遇の生涯をおくりました。その死後、彼の汚名は自身の手記で晴らされます。
この手記は、救助されたカルパチア号上でポケットにあったホワイトスター社の便箋に、正確なタイタニック号上での体験を綴ったものです。現在では第一級の資料として世界的にも認められています。
この事件で細野正文氏が助かっていなければ、孫に当たる細野晴臣氏もこの世に生を受けていないわけなので、この作品の音楽を担当したのは偶然ではないにしても、宿命を感じます。
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以下、難解語の解説(あくまでも想定です)
「ラッコの上着が来るよ」・・・ジョバンニの父親が北の海でラッコの密猟をしており、見知らぬ土地で投獄されていると予測される事が町の噂で広がっている。ザネリはこの事について冷やかしており、ジョバンニが子供達の世界から疎外されている事が読める。また、父親不在ゆえに家計が苦しく母親が病気がちとなり、ジョバンニが働かざるを得ない状況になっている。
「活版所の印刷物」・・・印刷機にかかっている新聞には、岸壁の客船らしきものが写真として掲載されているのが何となく解る。これはイギリスのサウザンプトンを出港しようとする豪華客船タイタニック号であるとのちに解る伏線である。
「天気輪の柱」・・・太陽のハロ現象・光柱現象などではないかという説。
「プリオシン海岸」・・・プリオシンは地質時代の名称。プリオシン海岸のモデルとなったのは北上川河畔で、賢治のいうイギリス海岸。賢治は、盛岡高等農林学校の学生・研究生時代には地質学の研究を行っていました。
「ボス」・・・偶蹄類
他にも難解な語句・・・「烏瓜」「ケール」「三角標」「月長石」「アルビレオ」「幻想代四次」「十ばかりの文字」「プレシオスの鎖」等々がありますが、追々記述していきます。
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