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[あらすじ] 北京好日(1993/中国=香港)

京劇の劇場に住込みの守衛を続けてきた韓(ホワン・ツォンルオ)さんは独り暮らし。人手不足の劇場で上演の手伝いに明け暮れてきたが、もう定年。退職後あり余る時間を潰すのはつらい。ある日公園でゲートボールならぬアマチュア京劇の老人グループを発見。京劇ならまかせろと、この爺ぃ、みんなの前で腕前を披露し一目置かれる存在に。これに舞い上がってしまって稽古場や指導員の手配に奔走、正式に京劇団を設立してすっかり団長気取り。頑固で強情な爺ぃは口うるさく「指導」に励む。お祭りの日、ハレの舞台を踏んだ劇団。爺ぃはここで「指導」に大失敗して落選。劇団員との感情的亀裂は深まる……。さぁ頑固爺ぃの韓さん、どうする?
Amandla!

現代の北京に生きるパワフル爺ぃたちの勇姿を見よ!

93ベルリン国際映画祭特別栄誉賞/93東京国際映画祭ヤングシネマグランプリ・ゴールド賞/93サン・セバスチャン国際映画祭青年監督賞グランプリ/93ナント三大大陸映画祭グランプリ・主演男優賞・最優秀アジア映画賞

原題:找楽(『Zhao Le』)/監督:寧瀛(ニン・インNing Ying)/脚本:寧岱(ニン・ダイNing Dai)・寧瀛(ニン・イン)

 寧瀛(1959年生まれ)は第五世代ではあるが、イタリアで映画を学んだ経歴、徹底的に北京にこだわるという点で、他第五世代監督とひと味違う、いわばヨーロッパ感覚の映画を創り出している。彼女はまた『ラスト・エンペラー』(87)でベルナルド・ベルトルッチの助監督を務めていた。

 本作で演じている役者は韓じいさん役の黄宗洛(ホワン・ツォンルオ)など2名以外はすべて素人。寧瀛監督が偶然、北京の胡同で京劇の練習をしている老人を見つけ、現代に生きる彼らパワフルな老人たちと、北京の日常風景や日常生活を、ドキュメンタリー・タッチで活写した。

 寧瀛は市川準のインタヴューに答えて次のように語った。

寧瀛「北京電影学院のかつての同級生たち――陳凱歌、田壮壮(ティエン・チュアンチュアン)、張藝謀などいわゆる第五世代と呼ばれる監督たちが何を撮っていたかというと、過去の中国あるいは今日が舞台でも都市から遠く離れた農村ばかり、今、目の前で起こっている北京の現実を描いていない! 今誰も撮らなければこの尊い素材は荒れ果て、忘れ去られると焦りました。ですから私は彼らと違う方向に行こうと。自分の身の周りの、都市の“今”を撮ろうと決めたんです」(映画『スケッチ・オブ・Peking』プログラム中のインタヴュー、大映株式会社 東光徳間事業部、1996年刊―孫引き。元記事は文藝春秋社『CREA』)

 そんなわけで、寧瀛は本作『北京好日』に続き、『民警故事』(『スケッチ・オブ・Peking』)(95)では北京の警察官を素材とし、『夏日暖洋洋』(『I Love Beijing - アイラブ北京』 カノリさんが登録リクエスト中)(2000)ではタクシー運転手を中心にした北京の若者たちを描くなど、北京にこだわる映画作家となった。

(評価:★4)

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