[コメント] セッション9(2001/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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コンセプトとしてはスタンリー・キューブリックの『シャイニング』に似ていると思う。あれに比べて霊の要素をかなり排除はしているものの、どちらも、建物が抱える霊的な存在が呼び覚ました狂気なのか日常に圧迫された心理が生み出した狂気なのかは曖昧(解釈が分かれる?)にされている映画。直接的な霊の描写は無いのだが、ゴードンの妻子殺しが廃病院の下見の後の出来事である事など、どこかそういう影を感じさせるようにしてある。
メアリーの記憶は正直拍子抜けだった。思い出せないほどの記憶というのだから、よほど恐ろしくも悲しい過去があるのかと期待していたのに・・・。もっと苦しみに満ちた感情の爆発が呼び起こした事件であって欲しかった。引っ張りに引っ張られて期待感が高まっていただけに失望もデカい。
オチの方も、ゴードンのそれまでの家庭状況があまり見えていないためか、どうも今一つピンと来ない。それに、あの人数を一度も抵抗受けずに殺害するというのはちょっと困難。フィルがゴードンに迫るシーンも、ハンクのあんな惨状を目にしたのなら、先に他のメンバーを集めたり、警察に電話をしたりとかするのが普通だと思うのだが・・・。そういった説得力不足は良くも悪くも巧みな演出で煙に巻かれている気がする。
ラストも「誰の心の中にも‘サイモン’は潜んでいる」と不安感を誘いたかったのだろうけど、どうも見終わった後の恐怖は薄い。全体として期待感を募らせながらも怖さには届かず終わってしまっていた。
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