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[コメント] 昭和歌謡大全集(2003/日)

もっとシュールに。もっとパワフルに。お願いしますよ。 2003年12月14日劇場鑑賞
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ぜんっぜん、全然、全く以ってパワーが足りない。なんだこのしょぼくれた殺し合いは。情け無いにも程がある。キャラの個性が皆無。オバサン側の良く分らんシュールなギャグや、変態ガキ集団の気狂いぶり、そしてアクションシーンの荒唐無稽さ、全てを取っても平凡。凡作でしかない。

そりゃ確かに何箇所か笑えるシーンはあった。だけど、それでもパワーが足りない。全く足りない。全くシュールじゃない。こんな中途半端で荒唐無稽を気取った予告編を垂れ流しているようじゃダメだ!

例えば『極道戦国志 不動』の如き、秀才のヤクザ若頭に、ま○こから吹き矢を飛ばす少女や、教師の生首でサッカーする少年や、ランドセル背負って拳銃振り回す小学生、突然現れる人殺し体育教師等々の個性溢れるクソったれ気狂いキャラがぞろぞろと出てきながら、人知を遥かに超えたシュールな戦い@ゲリラ戦を繰り広げないとダメだ!

少なくとも、本作の様に、中途半端な残酷描写(なんだ、あの安藤が首を刺されるシーンは。その後の小便のブラックユーモアには笑ったが、あの合成はちと酷い)やイマイチ盛り上がらないアクションにストーリー展開、そしてプロットを活かしきれず、キャラを全く描ききれて居ない脚本には少しうんざりしてしまう。

そりゃ「コイツ最高じゃねーか!」と叫びたくなる程素晴らしかった金物屋の親父や、所々のオバサン軍団の憂鬱(謎)等々、随所にかなり面白い所はあった。しかし、作品全体に流れるパワーが全く足りない。少なくとも俺にとっては。もっと無茶苦茶に、荒唐無稽に、シュールに、パワフルに、ぶっ壊せぶっ殺せ!モラル秩序無視の、ルール無しバトルロワイアル@ロケット弾は反則よ でお願いします。一人ずつのブザマな死に様でブラックに、シニカルに笑わせてくれ。それなら2時間越えてもいい(ぉぃ

だから、正直言ってプロットを活かしきれて居ないように思える。原作は読んでいないが、もっともっと荒唐無稽にしても良いと思う。オバサン軍団は「集まってこその個性」として描いているように思えたが、だったら対極するガキ軍団は一人一人のスタンドプレイの集合体として描くべきではなかろうか?オバサン軍団が計画を練るシーンがあれだけ笑えるのに、ガキ軍団には笑えるシーンが余りに少なすぎる(金物屋での笑いはガキ軍団の笑いではない)。要するに、ガキ軍団の描き方が不十分なのだ。特に、ロケット砲であっけなく死んでしまうガキ軍団の3人は本編に、殆ど見せ場無く死んでしまうのだ(銃マニアのヤツくらいか?見せ場があったのは)。余りにもったいない。あの無意味なまでの大爆発がもったいなすぎる。

オバサン軍団はそれなりに面白く描けていたが、こちらも何だかパワフルさに欠けてる気がしてならない。正直、三池崇史監督が監督していたら・・・と鑑賞後にひたすら一人で妄想して満足している俺が居ました。あぁ、三池崇史が監督してたら、そもそも松田龍平なんて出演してなくて、ガキ軍団をSABUとか塚本晋也とか北村一輝とか浅野忠信@『殺し屋1』とかで編成して・・・(以下略)

中盤から終盤にかけても少しだけもたつく。序盤はかなり良かったのに。結局殺人シーンが少ないのが原因に思える。ラストは白昼に響き渡るヘリの音が近づき原爆で吹っ飛ばす訳だが、原爆を作る過程に『太陽を盗んだ男』の如き、「鉄腕アトム」を口ずさみながら製作するくらいの気狂いっぷりが欲しい。予告であれだけ「この映画はシュールで荒唐無稽だから、無茶苦茶な話期待しててね」って言っておきながら、マトモに殺し合う場面が少な過ぎる様に思えた。

結局ブラックユーモアとしても今一つな感が残るし、アクションとしては全く満足できない作品だった。ただ、随所で大笑いはさせてもらったし、あの呪縛霊の如き女の子の面白さには感動モノだったので★1は避けておきたい、と一人納得し劇場を後にしたのでありました。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)林田乃丞 sawa:38[*] ミュージカラー★梨音令嬢[*] 水那岐[*]

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