[コメント] 座頭市地獄旅(1965/日)
二重三重に張り巡らされた仇討ちの構図。伊藤大輔の緻密な脚本を完全に描ききるのに87分は短すぎたようだ。最期が余りに駆け足過ぎ九分五厘といった辺りに留まってしまった。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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しかし成田三樹夫演じる将棋好きの浪人(*)は初作の天知茂に比肩する存在感。会話・将棋・剣に於ける市の掛け合いは絶妙である。他にも初作との関連性・類似点が多くニヤリとさせられる一編。「この船には障害者割り引きとかないんですかい」など台詞も面白い。
*役名の十文字糺は偽名で、最期まで本名は明かされない。彼は市のことを「只の市」つまり名無しの市、と呼んでいたが、つまるところ二人とも名が無いのだ。名を持たない、根を持たない二人、しかも両者共に仇(かたき)と狙われている、の友情というのはなんとも気の利いた設定ではないか。初作に於ける市と平手酒造(天知茂)の類似性、身体的盲者と精神的盲者、を思わせる象徴性を伊藤大輔の脚本は備えている。伊藤大輔万歳。
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