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[コメント] 遥かなる大地へ(1992/米)

約20年ぶりに再見。当時はトム・クルーズニコール・キッドマンの関係ばかりが取りざたされて肝心の映画が軽んじられていた印象があるが、傑作とまでは言わないまでも、時代を問わず楽しめる佳作であることは再確認した。
ナム太郎

結局結婚までしていた2人なのだから(またニコールの出演を推薦したのがトムだと言うんだから)、そんな姿を見ているだけで楽しいに決まっているのだが、あえて一歩ひいて眺めてみると、ロン・ハワード演出の素晴らしさにも激しく心動かされるところがあった。

特に中盤の拳闘シーンの素晴らしさといったらない。単純なことだが、マッチョではあるが相手に比べるとあんなに細く小さく見えるトムを、それでも彼のほうが断然強いと納得させるのは演出的には決して簡単なことではないのだろうと思う。しかしこの映画は、誰がどう見ても彼のほうが強く見える。そんなマジックに引きずられるボストンのシーンは、小汚い売春宿の雰囲気も含めて最高に楽しいひとときであった。

がしかし、そこであれほどの拳闘を見せたのなら、どうしてクライマックスにその拳を出し惜しみするのかという恨み節を言いたくなるのも事実で、どうせなら「『静かなる男』の焼き直し」と陰口をたたかれようとも、土地と女とをまさにその拳ひとつで掴み取るのが映画としての真のロマンというものだろうと私は思う。

ただ、ラストの終わり方は決して嫌いではない。あの唐突な「The End」も、古い古いアメリカ映画を思い起こさせるには充分すぎる粋な演出で私は気に入った。

(評価:★4)

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