[コメント] 奇跡の海(1996/デンマーク=スウェーデン=仏=オランダ=ノルウェー=アイスランド)
とても映画とは思えず見ているのが辛かった。傍観者である自分を強く意識させられた。カメラの手ブレがこうも見ているものの感情を揺さぶることができるとは思っても見なかった。
私は『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』をまだ見たことがない。だからこの映画を見た後では、ついつい期待してしまう。カメラのブレに、感情が揺さぶられるというのは初めての経験で、ブレア・ウィッチもきっとそうなのではないか、と。
もちろん、それはこの映画にとっては副次的な要素である。そこに現れる人間の生き様と苦しみが真に切実なものであるから、私たちは居たたまれなくなるわけで。
ベスは、現代風にいくといわゆる「ちょっと足りない」女の子なのだろうが、本当はなにより純粋で信心深い。古い因習にとらわれた村の人々も、みなそれはよく知っている。そんなベスの、ヤンを愛する激しさと、愛するがゆえに身を投げ出すさまは、まさに目を覆いたくなる。二人はどうして、こんなに苦しまないといけなかったんだろう。誰もそれに答えることはできない。ヤンとベスには答える必要がない。苦しみのない別れよりも苦しみながら愛することを盲目的に選択したのだから。
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