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[コメント] 日本女侠伝 侠客芸者(1969/日)

「母の映画を観た事が無い」という映画賞総嘗めの寺島しのぶに対し太地喜和子がひと言言ったそうだ。「観ないほうがいいわよ。観たら・・」
sawa:38

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







とにかく藤純子を綺麗にそして粋に撮る。これを至上命題としたような作品。それに対し「芸」で応える藤純子の素晴らしさ。

好きな男の前ではまるで少女のように、弱い立場の男たちの前ではまるで母のように、悪党の前では娼婦のように、そして目眩がするような殺気を漂わせる。

これをひとりの女優が演じ分ける。さらに芸者役としての役づくりの完璧さ。着物の着こなしは言うに及ばず、その立ち居振る舞いと踊りの見事さは言葉にならない。ほんまもんの役者である。

そして、ラスト。ひとり鏡に向かう藤純子が唇に紅をさす。純子の大アップがスクリーンに一杯になるや、やがて流れ落ちる一筋の涙、さらにもう一筋の涙・・・いやはや稀有な大女優である。邦画界が絶賛してやまない娘も素晴らしいが、やはり母のこの芝居を越えられるのだろうか。娘には「歌舞伎界」の血が混じっっている。きっと母を超える芝居をする日が近いのだろう。やはり今は母の作品は見ないほうがいいのかもしれない。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ジェリー[*] 町田[*]

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