[コメント] 突撃(1957/米)
蟻の様に生きていき、蟻の様に死んで行く人々。特に場所が戦場であるならば。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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蟻んこ、出てくる人物全てがアリンコである。
戦争シーン、甚大な爆撃音とはウラハラに兵士達は只々アリの様に音も無く、倒れ、朽ち、絶えていく。(戦場の名前もアリ塚だ、つまりアリの墓場)
そして、戦場を支配する爆撃は、蟻の列を外部から乱した様な、甚大な悪意に感じる。
自分の野心のために身勝手に奔走する、将軍達もやはり只本能に忠実なのである。 甘い砂糖菓子に向かう蟻の様に。(ま、どちらかと言うと、蟻と言うか目をギラつかせたネズミの様に見えるが)
そして、死刑囚になった3人も、無作為に選ばれ、無為に蟻の様に死んで行く。
しかし、迎えるラストの酒場のシーン、 始めは只本能的に女に群がっていただけだが、
ドイツ娘の歌声を聞いた時、兵士達は只のアリでは無い、一方で人間でもあるのだと感じさせる。
それを見ていたカークダグラスもその瞬間だけ、組織を統率するアリの隊長から、 人間に戻れた様に感じられた。
何故ならば、ここで涙を流す事、それが痛いだとか死にそうだとか、そう言う理由だけでは無いからだ。
しかし、カークダグラスは結局はまた命令系統を下す、一つの蟻として軍隊に戻り、 兵士達はその命令に従う蟻に戻っていくのだった。
戦場では時に人間になる時もあるが、結局は蟻の様に生きていくのだと言う、饒舌な現実。
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