[コメント] 着信アリ(2003/日)
当初、本作はNTTドコモが仕掛けた壮大な乗り換えキャンペーンなんだと思っていました。死の可能性がある電話番号とはサヨナラし、新たな携帯電話はいかがですか?ってね。実際、作中にもauを解約しに行く場面もあるしね。
ここは重要です。携帯電話が今や生活の重要ツールとして、否、人によっては親兄弟よりも携帯電話が大事という人間が増えている現状。そんな人々、特に作中に登場する若者にとって携帯電話の位置づけは高いだろう。そのような若者が、友人からのメールや電話を拒絶出来るか否か、さらに友人との繋がりを断絶出来得るものなのだろうか?そんな「If」の物語が展開されるのだと思っていました・・・
ホラーの形式を借りての逆説的な社会風刺。そんな期待は無残にも消えうせていった。一場面だけそういったシーンがあったが、そこだけで終了。本当はそこから鋭く切り込んでいくんじゃないのか?
そうこうする内に物語は「殺人予告の生中継」という新機軸に発展していった。そうか、これは期待大である。TV界で飯を喰ってる秋元康ならではの皮肉たっぷりなアンチワイドショー批判が展開されるんだろう・・・って。
結果はご承知の如く、その後のTV局内はもちろん、惨劇をお茶の間で見たであろう視聴者やら社会反響は「一切」描かない徹底ぶりに唖然とするしかなかった。この徹底ぶりは凄かった。何しろ残りの上映時間が30分以上あるにも関わらず一切無し。本作の「何かしらのメッセージを伝える」というテーマが吹っ飛んでしまった。
その後はヒロインが夜の廃墟の病院へ単独行を決行したりする「あり得ない」お化け屋敷描写だったり、どうでもいいような犯人探しだったりとか・・・
ありがちなホラーから脱却でき得る要素を多分に含みながら、あえてありきたりなB級ホラーに貶めたのは何だったのだろうか?惜しいよなぁ。
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