[コメント] ジム・キャリーのエースにおまかせ!(1995/米)
前回にも増して、ジム・キャリーはもちろん、お猿のスパイクをはじめ動物たちも大奮闘している。けれど、ジム大活躍!とは言い難いものがある。
なぜなら、「ジムの芸」を見せるための場面があまりに少ないからだ。はっきり言って、脚本と演出がひどすぎる。(*1)明らかに悪いのは監督だ。と、思う。
空撮をはじめとした凝った映像や川流れ等のふんだんなスタントシーンを入れるぐらいなら、その分をもっと「ジム・キャリー本人の研究」に回してほしい。どう考えてもこのシリーズは、「監督の色」ではなく「ジムの色」で勝負すべき映画だと思うので、それは「当然の義務」なんじゃないかとさえ思う。
それなのに、ジムのジムによるジムの芸をみせつけるための場面がどうも弱い。前回の「何度も窓を開け閉めしながら叫び声を再現するところ」や「病院でのアメフトスローモーション(と、巻き戻し)」のような、くどいほど繰り返される「彼ならではの芸」を満喫できない。そのぶん他の登場人物や動物の見せ場は増えているが、それはこの作品を見ようと思う観客の多くが期待しているものではないだろう。
私は、ジムのくどければくどいほどおもしろい至芸が大好きだ。彼が「ここが見せ場だ!」とばかりに延々と自分の芸を見せてくれる場面が大好きだ。
だからこそ、彼のその素晴らしい「芸」が軽く扱われているかのような「おいおいそこで終わりかよっ。もっと見せてくれないのかよっ。」な場面が残念でならなかった。それでも一生懸命に「見せ場」を作ろうとしている彼にはあらためて惚れ直したが(さりげない巻き戻しの挿入もあったし、両足に矢を突き刺されてのくどい演技は素晴らしかった)、「どうでもいいイメージカットなどは削って、もっと好きなだけ芸を披露させてあげて欲しかったなー。」という気持ちはどうにも拭いがたい。
また、あまりに(*2)ナフタランジャになれないアフリカのイメージ、というのもちょっと哀しかった。そういった映画ではないし怒ってもしょうがないけど。
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(*1)
いま調べてみたら、前作の『エース・ベンチュラ』では脚本にジム本人が加わっているが今回は違っている。また、監督も前回とは違う人だ。うーん、納得といえば納得。そして、彼は使い方の難しい役者であり芸人なんだということを実感し、あらためて『マン・オン・ザ・ムーン』を見直したくなってきた。アレは本当に絶妙なキャスティングだったんだな。
(*2)
「ナフタランジャ」というのは、「雨上がりのように爽快な気分という意味」だそうです(たぶんスワヒリ)。詳しくは、どうぞ『アフリカン・ダンク』を見てくださいまし。
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